2009年7月4日土曜日

10.誰かと一緒に経営を始める場合の留意点

< 開業なぜなに問答  1-10 >   ★ <1-1>へ

 京子「友達同士で気軽に創業を考えるケースも多いですね」

 ヤマ「そうですね。けれどもこれが大変問題があるのです。友達同士である間は良いのですが、利害が絡むと今までと同じようには行きません。
その多くは、気があっているから大丈夫だろうと気軽に考えて立ち上げた場合に問題が起こるのです。
店のあり方、配分の仕方、お客様との関係等々。はじめに余程しっかりした計画に基づく意思統一をしておき、ミーティグなどもこまめに行うことが重要ですね」

 京子「な~るほど。良く分かりました。今日は本当にいい勉強になりました。ありがとう御座いました」

 ヤマ「イエイエこちらこそ。では、またお話しましょう。出来れば新しく立ち上がったお店ででも!」

<了>

9.一人で始めるのか? 誰かを雇うのか

< 開業なぜなに問答  1-9 >

 京子「創業の多くは一人で又は家族で始めることが多いようですが」

 ヤマ「そうですね。これも行き当たりばったりに考えないことです。また、多少のことならはじめは他人を雇わないでやってみる。逆に軌道に乗れば早めにパートさんの確保などの手を打つ。これが鉄則でしょう」

8.資金計画に無理はないか?

< 開業なぜなに問答  1-8 >

 ヤマ「話は少し戻りますが・・・」

 京子「はい、はい、どうぞ!」

 ヤマ「資金計画のことですがやはり50%は自己資金が望ましい」

 京子「えっ、そんなに多くですか!」

 ヤマ「そう。本当は自己資金100%が理想ですが、現実にはそうは行かない。しかし、金融機関からの融資でやっとかつかつと言うのでは非常に危険」

 京子「そうなんですか? でも、現金商売だし・・・」

 ヤマ「そうですね。そこもひとつの落とし穴ですね。資金計画を拝見すると融資がないと成り立たないものや、立ち上げ早々から過大な売上を見込んでいるものが少なくないですね」

 京子「・・・」

 ヤマ「そもそも融資は申し込んでから実際に融資を受けられるまでかなりのタイムラグがある。その間どうするのでしょうかとお聞きすると、えっそうなんですかと」

 京子「言われてみれば・・・」

 ヤマ「それに借りたものは返さなければならない」

 京子「それはそうですね」

 ヤマ「Dさんの場合、自分の生活費を殆ど見込んでいない。霞を食って生きていくつもりでしょうか? 運転資金は最低3ヶ月分必要と思いますよ。それを何とか目処を付けてから立ち上げるそれだけの辛抱と周到さが絶対必要ですね。創業計画書(PDF=98KB)は必ず作成しましょう」

 京子「成る程ね」

 ヤマ「それと当然ですが、飲食店の許可(保健所)は必ず取っておいてくださいね」

7.客のニーズにマッチしているかどうか

< 開業なぜなに問答  1-7 >

 ヤマ「京子さんは喫茶店に行かれるとき、どうして店を選んでいますか?」

 京子「どうして?」

 ヤマ「そう、どうして」

 京子「ほっとする店、友達と行くときは気兼ねなくお話が出来る店かな」

 ヤマ「そうですね。おいしいコーヒーを求めてと言うことは勿論ですが、お客様が喫茶店に何を求めて来店されるのかと言えば実は、京子さんが言われたように『ほっとする』ひと時を過ごせる空間、時間を求めてご来店いただく。
単においしいコーヒーと言うのは最低限のニーズであって、本当は『ほっとするひと時』であったり、お友達と『気兼ねなく会話が楽しめる空間・時間』がお客様の心底にあるニーズなのです。
ですから、いくらコーヒーがおいしいかってもそれだけではお客様はご来店にならない。たとえ一度は偶然ご来店いただいても次も続けてご来店いただくということにはならない」

 京子「そう言われてみればそうですね。本当・・・」

 ヤマ「お客様自身もお気づきでないかも知れない、『真のニーズ』に応えている店、それが実は『繁盛店』なのです。」

 京子「な~る程。なっとく!!」

6.立地はマッチしているか?

< 開業なぜなに問答  1-6 >

 ヤマ「次は『どんな場所を選ぶか』ですね。これがなかなか難しい。お店のコンセプトにあった場所。来ていただきたいお客様が来店しやすい場所。そうですよね」

 京子「いかにもいかにも」

 ヤマ「例えばCさんの場合。はじめは良く考えていたが・・・予算等を考えるといつの間にか妥協して自分でも今一と思うところで手を打った。結果は明白。技術と人柄で2年程持ちましたが矢尽き、刀折れてあえなく閉店に」

 京子「う~ん 難しいものですね」

 ヤマ「飲食業にとって立地は生命線ですからね。よくよく考えて手を打たなければね」

5.誰に何をどういう方法で

< 開業なぜなに問答  1-5 >

 京子「そう考えると、まず自分がどんなコンセプトの店を始めたいのかをはっきりさせること。があらゆる出発点なのですね」

 ヤマ「さすが京子さん!」

 京子「先生、冷やかさないでくださいよ。照れてしまいます」

 ヤマ「いやいや、なかなか鋭い! 自分の始めたい店のコンセプト。あなたの技術、キャラクター、人脈、資金力などを総合的に勘案して、まずそこんところをしっかりと決めなきゃいけない」

 京子「そうですね」

 ヤマ「それが決まれば、次はあなたの店に来ていただきたい『お客様』は誰? 男、女? 年齢は? どんな感じの人? 団体客、個人客? 観光客、地元の皆さん?」

 京子「わぁ~ 楽しくなってきました!」

 ヤマ「次にお客様に見合った料理を考え尽くす。必ずしも多くの種類の料理が必要かと言えばそうではない。グッと品揃えを絞り込んでそれで成功している店もある」

 京子「そうなんだ!」

4.どんな店を作ろうとしているのかを明確に

< 開業なぜなに問答  1-4 >

 ヤマ「それだけに立ち上がったからには繁盛店にしなければ」

 京子「そうですよねぇ」

 ヤマ「ところがこれも実はいくつかポイントがある」

 京子「はい」

 ヤマ「その1は、結局『どんなお店を作ろうとしているのか』をハッキリさせることです。そこが実はハッキリしていない場合が多い」

 京子「そこのところをもう少し具体的に・・・」

 ヤマ「例えば喫茶店。既に経営されている方は今更ウチの店はこんな店ですと言われなくても、一見して分かる。マスターの人格で人が集まってくる店。飛び切りのコーヒーが売りで通の人が集まる店。若者が集まる店・・・」

 京子「ははぁん。だんだん分かってきました。それによってつくりから何から何まで違いますよね」

 ヤマ「そう。だから閉店になった店舗で創業する場合などは、つまり、以前の店の形態では『繁盛しなかった』わけだから、そこを充分考えて店のつくりから何から何まで考えなければ同じ廃業の憂き目を見る」

3.「腕に覚えがある」と「店を経営する」と言うことはイコールではない。

< 開業なぜなに問答  1-3 >

 ヤマ「よくあるケースは、自分は経験充分。腕にも自信がある。だから絶対成功間違いなしと思い込むケース」

 京子「えっ、ダメなんですか、それでは!」

 ヤマ「キャリアは重要。しかし、キャリアだけでは店は経営出来ない。顧客を集める方法、資金調達と運用、銀行さんとの折衝も。パートさんを使うことになれば労務管理的なことの初歩的知識も必要」

 京子「へぇー 意外と大変なんだ。操業するってことは」

 ヤマ「もちろん大変なことばかりじゃない。小なりと言えども一国一城の『主』になるわけだし、お客さんから評価をいただき繁盛しだした時の喜びは何者にも変えがたいと思いますよ」

2.飲食店開業の落とし穴

< 開業なぜなに問答  1-2 >

 京子
「創業に当たって他に注意すべきことは何ですか?」

 ヤマ「比較的少ない資金で立ち上げられるので、創業を安易に考えがちと言う事かなぁ。事実、飲食店は比較的小さな資金でも立ち上がれる。だから、創業を安易に考えがち。
しかし、『創業する』と言うことと、『店を経営し続ける』と言うことはまったく別。『店を経営し続け』なければ意味がない。そうですよねぇ」

 京子「まったく」

 ヤマ「だからやっぱり周到に準備して、満を持して創業しなければね。すぐにダメになりかねない」

 京子「具体的にはどんな点に気をつけなければなりませんか?」

1.創業に当たって一番大切なものは?

< 開業なぜなに問答  1-1 >

 京子「今日はよろしくお願いしま~す!」

 ヤマ「やぁ、元気ですねぇ!こちらこそ宜しく!」

 京子「今までたくさんの創業希望者の相談に乗ってこられたと聞いていますが、飲食店もおおい?」

 ヤマ「そうですね。少なくないですよ」

 京子「では、まずはじめに、創業に当たって何が一番大切かというところからお話していただけませんか」

 ヤマ「そうですね。店を持ちたい、創業したいと言う強い思いは絶対必要。でも、強い思いだけでは失敗する。『店を持つ』ことはみんなの夢。夢が無ければ創業は成り立たない。『店を持ちたい!』と言う強い思いが無ければ、創業まで行き着かない。けれども・・・『夢』はあくまで夢であることを自覚して、一歩一歩慎重に準備を進めていかなければ失敗すると言う事ですね」

 京子「それは具体的にはどう言うことですか?」

 ヤマ「例えばAさんの場合。開業の相談に何回かこられたのですが、結局創業せず。喫茶店をやりたいと言う漠然とした思いはあるのですが、必ず開業すると言う強い思いにいたらない。ああでもない、こうでもないと思っているうちに時間だけが過ぎていく。結局3ヶ月ほどして断念されました」

 京子「そうですね。私の友達にもそういう人がいました。漠然とした憧れだけでは創業は出来ないのですよね」

 ヤマ「また反対にBさんの場合。相談にこられたときは既に店舗の賃貸契約を打ってしまった後。でも、コンセプトと立地がどうみても釣り合わない。開業を思いとどまるよう説得しましたが、走り始めていて無理。結局半年も立たない内に店じまい」

 京子「きゃはぁー 残酷!」